繋離船事業の
新型コロナウイルス感染症の感染拡大予防ガイドライン
令和2年5月14日策定
日本繋離船協会
■ 目 次 ■
1.はじめに
2. 感染防止のための基本的な考え方
(1)基本的な考え方
(2)リスク評価とリスクに応じた対応
3. 講じるべき具体的な対策
(1)健康管理・労務管理
(2)通勤・外勤
@勤務体系
A通勤手段
B外勤
(3)勤務 @共通事項
A職場
B現場
(4)休憩 @食堂・休憩室・控室
Aトイレ
B喫煙所
C屋外休憩場所
(5)部外者への対応
(6)従業員等の意識向上
(7)労働衛生管理等の適切な実施
(8)陽性者等が発生した場合の対応
(別添1)「緊急事態宣言時に事業の継続が求められる事業で働く方々等の
感染予防、健康管理の強化について」(抜粋)
(別添2)人との接触を8割減らす10のポイント
(別添3)「新しい生活様式」の実践例
1.はじめに
【感染拡大予防の必要性】
繋離船事業者は、政府の「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」(令和2年3月28日新型コロナウイルス感染症対策本部決定。以下「基本的対処方針」という。)において、社会の安定の維持の観点から、緊急事態措置の期間中にも、企業の活動を維持するために不可欠なサービスを提供する関係事業者(物流・運送サービス(海運・港湾管理))として位置付けられており、その事業の継続が要請されている。
一方で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)については、今後も持続的な対策が必要になることが見込まれており、このような中で、まるまる繋離船事業者等が、継続的にその責務を果たしていくためには、事業継続のために必要な感染拡大予防対策を適切に講じていくことが必要である。
このため、基本的対処方針の変更等をはじめとする政府の諸決定を踏まえ、新型コロナウイルス感染症の感染拡大予防のガイドラインを策定するものである。
繋離船業は、外国船舶と最初に接触のある業種である。外国船員との接点、船体やロープとの接触があり、しかも生身の人間がチームとして作業を行うなどの特殊性がある。港湾の機能に不可欠な離着岸を担う重要性から、事業継続のためには特に徹底した対策が求められる。
【本ガイドラインの位置付け】
本ガイドラインは、上記を踏まえ、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行が終息するまでの当分の間の実施が推奨されるものとして、繋離船事業者等に対する推奨事項を整理したものである。
今後、本ガイドラインを広く業界に普及させるとともに、各繋離船事業者等において、個々の職場・現場や感染リスクの実態に即した、実行可能な効果的な対策を、迅速かつ適確に講じることにより、感染拡大の予防に万全を期していく必要がある。
なお、本ガイドラインは、「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」(令和2年5月4日新型コロナウイルス感染症対策専門家会議)や厚生労働省の公表資料、国土交通省からの通知、情報提供や助言を参考に策定したものである。
本ガイドラインは、令和2年5月14日時点の最新の情報に基づき作成されているが、新型コロナウイルス感染症については、日々、様々な知見が明らかになっているところであり、感染拡大の動向や専門家の知見、これを踏まえた基本的対処方針の改定等を踏まえ、適宜、必要な見直しを行うものとする。
また、本ガイドラインに記載のない取組を含め、各繋離船事業者等において、業界内外の好事例を積極的に取り入れつつ、現場において創意工夫しながら、感染リスクの実態に即した対策を実践していくことが重要である。
なお、本ガイドラインは、日本繋離船協会の会員である繋離船事業者等が行う感染拡大防止対策を想定したものであるが、港湾及びその近傍で事業を営む会員以外の事業者が行う対策の一助となることも期待する。
2.感染防止のための基本的な考え方
(1)基本的な考え方
繋離船事業者等は、自らの職場・現場や感染リスクの実態を十分に踏まえ、自らの事業所の建物内に留まらず、他の事業者と共用する施設や作業を行う船舶内、通勤経路を含む周辺地域等において、従業員や経営者(以下「従業員等」という。)への感染拡大を防止するよう努める。
また、従業員等が感染した場合においても、濃厚接触者が多数発生することがないよう、現場での待機中、作業中、休憩中を含め、自社の従業員等相互間や自社の従業員等と取引先の従業員等との間での濃厚接触が生じないよう、普段から業務上の工夫を行うよう努めるものとする。
このため、「三つの密」(@密閉空間(換気の悪い密閉空間である)、A密集場所(多くの人が密集している)、B密接場面(お互いに手を伸ばしたら届く距離での会話や発声が行われる))が生じ、クラスター(集団)感染発生リスクの高い状況を回避するため、以下の点を踏まえつつ、船舶代理店、水先人、本船船員、係船ボート等の関係者で相互に積極的に協力し、最大限の対策を講じる。
なお、新型コロナウイルス感染症への対応策については、新たな知見が得られるたびに充実しているので、逐次厚生労働省ホームページの「新型コロナウイルス感染症について」を確認することとする。
(参考)新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)令和2年5月7日時点版
問3 濃厚接触とはどのようなことでしょうか。
濃厚接触かどうかを判断する上で重要な要素は二つあり、1.距離の近さと2.時間の長さです。必要な感染予防策をせずに手で触れること、または対面で互いに手を伸ばしたら届く距離(1m程度)で15分以上接触があった場合に濃厚接触者と考えられます。
新型コロナウイルス感染症対策専門家会議では、対面で人と人との距離が近い接触が、会話などで一定時間以上続き、多くの人々との間で交わされる環境は感染を拡大させるリスクが高いとされています。(以下略)
(2)リスク評価とリスクに応じた対応
繋離船事業者等においては、まずは、新型コロナウイルス感染症の主な感染経路である接触感染と飛沫感染のそれぞれについて、自社の従業員等や取引先の従業員等の動線や接触等を考慮したリスク評価を行い、そのリスクに応じた対策を検討する。
接触感染のリスク評価としては、他の事業者と共用する施設や作業に使用する機器、作業を行う船舶・車両・無線機などを含め、他者と共有する物品やドアノブなど手が触れる場所と頻度を特定する。高頻度接触部位(テーブル、椅子の背もたれ、ドアノブ、電気のスイッチ、電話、キーボード、タブレット、タッチパネル、蛇口、手すり、エレベーターや自動販売機のボタン、車両や機器のハンドル・レバー・ボタンなど)には特に注意する。
飛沫感染のリスク評価としては、換気の状況を考慮しつつ、人と人との距離がどの程度維持できるかや、屋内や船内で大声などを出す場がどこにあるかなどを評価する。
(3)基本的な対策
以下の点は、対策を行う上での基本となるため、十分に理解するとともに、その徹底を図る必要がある。
(換気の徹底)
・ 必要換気量(一人あたり毎時30m3)を満たし「換気が悪い空間」としないために、職場の建物が機械換気(空気調和設備、機械換気設備)の場合、換気設備を適切に運転・管理し、建築物衛生法関係法令の空気環境の調整に関する基準が満たされていることを確認する。
・ 職場の建物の窓が開閉可能な場合は、1時間に2回以上、窓を全開して換気を行う。複数の窓がある場合、二方向の窓を開放する。窓が一つしかない場合は、ドアを開ける。
(対人距離の確保と咳エチケット)
・ 職場や現場においては、人と人との間に十分な距離を保持(1メートル以上)する。また、会話や発声時には、特に間隔を空ける(2メートル以上)。
・ 外来者、顧客・取引先等と対面で接触する場合は、距離(2メートル以上)を取る。
・ 業務の性質上、対人距離等の確保が困難な場合は、マスクを着用する。
・ 食事などでマスクを着用していない時は、咳エチケットを徹底する。
(こまめな手洗い)
・ 石けんによるこまめな手洗いを徹底する。(最低15秒以上かけて洗う。)
・ 洗面台、トイレ等に手洗いの実施について掲示を行う。
・ 入手可能な場合には、感染防止に有効とされている手指消毒用アルコールを職場に備え付けて使用する。
※ 厚生労働省のホームページ「新型コロナウイルス感染症について」に掲載されている手洗いの啓発用リーフレット「接触感染に注意!」を活用。
(定期的でこまめな消毒)
・ 不特定多数の者が触れる箇所を定期的にこまめに消毒する。
※ 手で触れる共有部分の消毒には、薄めた市販の家庭用塩素系漂白剤で拭いた後、水拭きすることが有効であること。家庭用塩素系漂白剤は、主成分が次亜塩素酸ナトリウムであることを確認の上、0.05%の濃度に薄めて使用いただきたいこと(使用方法の詳細はメーカーのホームページ等で確認いただきたいこと)。
(一般的な健康確保措置の徹底)
・ 疲労の蓄積につながるおそれがある長時間の時間外労働等を避ける。
・ 一人一人が十分な栄養摂取と睡眠の確保を心がけるなど健康管理を行う。
・ 職場において、労働者の日々の健康状態の把握に配意する。
3.講じるべき具体的な対策
繋離船事業者等が新型コロナウイルス感染症の感染拡大予防対策として講じることが考えられる推奨事項は以下のとおりであるが、本ガイドラインは、全ての職場や現場において全ての推奨事項を一律に実施することを求めるものではない。このような前提で、本ガイドラインでは、先進的なものを含め、想定される取組みを前広に列挙している。
地域における感染状況や、個々の職場・現場の実態は様々であり、これを反映し、個々の職場・現場の感染リスクの実態も多様である。このため、各繋離船事業者等が、個々の職場・現場で実際に講じる取組を検討するに当たっては、「2.感染防止の基本的な考え方」を踏まえつつ、個々の職場・現場や感染リスクの実態に即した、現実的に実行可能な効果的な対策を選定し、着実に取組みを進めていくことが重要である。
なお、緊急事態宣言の対象地域・期間においては、別添1「緊急事態宣言時に事業の継続が求められる事業で働く方々等の感染予防、健康管理の強化について」(抜粋)を踏まえて対応する必要がある。特に、特定警戒都道府県においては感染予防拡大対策の一層の徹底が求められることに留意する。
(1)健康管理・労務管理
・ 職場において、従業員(雇用関係の有無に関わらず、同じフロア又は現場で勤務する者をいう。以下同じ。)の日々の健康状態の把握に配意する。
・ 従業員及び経営者(以下「従業員等」という。)に対し、出勤前に、体温
や風邪等の症状の有無を確認させ、発熱等で具合の悪い者は自宅待機とす
る。また、勤務中に具合が悪くなった従業員等は、直ちに帰宅させ、自宅待
機とする。
・ 具合が悪く自宅待機となった従業員等は、毎日、健康状態を確認した上
で、症状が改善してから最低48時間の経過期間を経るまでは出勤させな
い。症状に改善が見られない場合は、医師や保健所への相談を指示する。
・ 出社時に体温測定を行うなど発熱の有無を確認する。
・ 従業員等が新型コロナウイルス感染症の陽性者又は濃厚接触者となった場
合には、濃厚接触者の自宅待機などの保健所の指示に従う。
・ 産業医等の助言を得つつ、妊娠中の女性労働者や、高齢者、基礎疾患(糖尿病、心不全、呼吸器疾患など)を有する従業員に対して、労務管理上の配慮を十分に行う。
(2)通勤・外勤
@勤務体系
・ 管理部門などを中心に、在宅勤務(テレワーク)が可能な従業員には、こ
れを励行する。オンラインでの会議や打ち合わせを活用し、会議等のための
出勤を抑制する。
・ 時差出勤・時差退勤により、混雑時間帯の公共交通機関の利用やロッカー
ルーム等の混雑を避ける。
・ ローテーションを組み交代勤務を実施することが可能な職種については、
ローテーションによる交代勤務を導入する。なおこの際、職場全体での感染を防止するため、各ローテーショングループ間で人の入れ替えが無いよう配慮する。
・ アルバイトを含めた不規則な人員の手配等のために独立したローテーションを組みことが困難な場合には、現場及び待機において、特に徹底した感染防止に取り組むこととする。
A通勤手段
(公共交通)
・ 公共交通機関を利用して通勤する従業員等は、マスク(入手できない場合
等は、布やフェイスシールド等の鼻や口を覆うもの。以下同じ。)の着用を
徹底する。
・ 通勤時は、電車等の車内換気に協力する。
・ 通勤時は、不必要な会話を抑制する。
(マイカー、バイク、自転車)
・ 公共交通機関が混雑している区間・時間帯に通勤せざるを得ない従業員について、駐車・駐輪場所の確保が可能な場合は、マイカー、バイク又は自転車での通勤を認める。
B外勤
・ オンライン会議や電話、電子メール等を活用し、出張や外出はやむを得ない場合にのみ行う。特に、感染が流行している地域からの移動、感染が流行している地域への移動は控える。
・ 出張や外出の際は、マスクを着用する。
・ 帰社・帰宅時、飲食前等のこまめな手洗いや手指のアルコール消毒を徹底
する。
・ 発症したときのため、誰とどこで会ったかをメモしたり、スマホの移動履
歴をオンにしておく。
・ 地域の感染状況に注意する。
(3)勤務
@共通事項
・ 従業員等に対し、始業時、休憩後を含め、定期的なこまめな手洗い、うが
いを徹底する。このために必要となる水道設備や石けんなどを配置する。ま
た、水道が使用できない環境下では、手指消毒液を配置する。
・ 勤務中のマスクの着用を促す。特に、対面での打ち合わせや倉庫内などの屋内で対人距離の確保が難しい作業を行う場合は、マスクの着用を徹底する。
・ 食事などでマスクを着用していない時は、咳エチケットを徹底する。
・ 風通しの悪い空間や人が至近距離で会話する環境は感染リスクが高いこと
から、その規模の大小にかかわらず、換気の徹底等によりそのような空間を
なるべく作らない等の工夫をする。
・ 電子メールや各種のオンラインサービス、ファックス、郵便、宅配便など
を活用し、社内外の関係者との間の書類や物品の対面での受け渡し回数の削
減を図る。(例.文書の写真ファイルやPDFファイルを電子メールで受け取って確認し、後日、原本はまとめて郵送/書類そのものの廃止など)
・ 朝礼・点呼・夕礼等の定例ミーティングについては、3密を避けるため、
中止又は時間短縮、対人距離の確保、小グループでの分割実施を検討する。
・ 個々の従業員の専用とすることが可能な器具や装備、衣服については、共
有を避ける。共有するものについては、定期的に消毒を行う。
・ 制服、作業服や手袋などの衣服等はこまめに洗濯又は消毒する。
※新型コロナウイルス感染症への感染防止の観点からは、手袋は医療機関でなければ特に必要はなく、こまめな手洗いを主とする。(防寒、日焼け防止、滑り止めなど、感染防止以外の目的で手袋を使用する場合は、こまめに洗濯(洗濯ができない素材の場合は、消毒)する。)
A職場
・ 従業員が、できる限り2メートルを目安に、対人距離を保てるよう、座
席配置を工夫する。
・ 物品・機器等(例:電話、パソコン、フリーアドレスのデスク等)については複数人での共用をできる限り回避する。
・ テレビ会議、電話、電子メール等の活用により、人が集まる形での会議等をできる限り回避する。
・ エレベーターの中では会話を控える。
・ 室内の換気を徹底する。
・ 加湿器や空気清浄機を設置する。
・ ゴミを回収する人は、マスクや手袋を着用する。マスクや手袋を脱いだ後
は、必ず石けんと流水で手を洗う。
・ 鼻水、唾液などが付いたごみは、ビニール袋に入れて密閉して縛る。
・ 通常の清掃後に、不特定多数が接触する場所を定期的に清拭消毒する。
(手が触れることがない床や壁は、通常の清掃で良い。)
(例)打ち合わせ用のテーブル、椅子の背もたれ、
応接用のテーブル、ソファの座面、受付カウンター、
エレベーターのボタン、階段の手すり、自動販売機のボタン、ドアノブ、
照明のスイッチ、エアコンのボタン、タイムカードのレコーダー、
電話、パソコンの電源スイッチ・キーボード、
タブレット、コピー機やプリンターの電源・タッチパネル 等
B現場
・ 現場での点呼、作業打合せ、作業時においてはマスク、手袋の着用を徹底する。
・ 現場においても対人距離の確保に努める。
・ バウチャーにサインをもらう等のために乗船する際には、本船船員との接触もあり、特に感染に注意を払う必要があるためアルコール消毒を行う。
・ 代理店等と調整し、感染機会の削減を検討する。
- 無線機器等を使用した際には、マイク等、その都度消毒を行う。
・ 車両乗車時にはドアノブ、シート、ハンドル等を消毒し、ソーシャルディスタンスを保ち会話は最小限にする。
・ 車両、船舶の移動時には窓を開けて換気を行う。
・ 作業道具を使用後は洗浄消毒を行う。
- ゴミが発生した際には袋に入れて密封する。
- 作業終了後、衣服、靴底、手の消毒を行う。
・ 3密を避けるため集団での待機にはソーシャルディスタンスをとり換気を徹底する。
(4)休憩・休息
以下の@〜Bは、感染リスクが比較的高いと考えられるため特に留意する。
@食堂・休憩室・控室
・ 昼休み等の休憩時間をずらす、椅子を間引くなどにより、利用者の集中を避け、2メートル以上の対人距離を確保するよう努める。施設の制約等により、これが困難な場合は、対面で座らないようにするか、対面する人と人の間をアクリル板・透明ビニールカーテンなどで遮蔽する。
・ 室内の換気を徹底する。
・ 加湿器や空気清浄機を設置する。
・ 共有する物品(テーブル、いす等)は、定期的にこまめに消毒する。
・ 手や口が触れるもの(コップ、箸など)は、適切に洗浄消毒する。
・ 従業員等は入室前と退室後に手洗いをする。
・ 更衣室の混雑を避けるため、自家用車での通勤者など、自宅で制服や作業
服に着替えることが可能な従業員には、これを励行する。
Aトイレ
・ トイレの換気を徹底する。
・ 便器内は、特別な清掃は不要のため、通常の清掃を実施する。
・ ドアノブ、ロック、便座、蓋、排水レバーなどの不特定多数が接触する箇
所は、定期的にこまめに清拭消毒を行う。
・ トイレの蓋を閉めて汚物を流すよう掲示する。
・ 手洗い場に石けん又は消毒液を設置する。
・ ハンドドライヤーは止め、共通のタオルは禁止する。
・ ペーパータオルを設置する。
B喫煙所
・ 喫煙所の換気を徹底する。
・ 加湿器や空気清浄機を設置する。
・ 喫煙中は、屋外であっても2メートル以上の距離を確保するよう努める。
・ 屋外の喫煙所や屋内の喫煙専用室では、会話や携帯電話による通話を慎む。
C屋外の休憩場所
・ 屋外で休憩や食事を行う場合であっても、必要に応じ休憩時間をずらすな
どにより、2メートル以上の対人距離を確保するよう努める。
(5)来客への対応
・ 来客に対しても従業員等に準じた感染拡大予防対策への協力を求めるた
め、自社の感染拡大予防対策の内容について、来客の所属企業等に説明した
り、文書を送付することにより、協力を確保する。この際には、必要に応
じ、政府からの要請文書や本ガイドラインを活用する。
・ 来客に対し、掲示物や声掛けにより、マスクの着用や手指消毒等への協力を呼び掛ける。
・ 建物の入口やエレベーターホール等に手指消毒液を配置する。
・ 来客がマスクを持参していない場合に提供するため、来客用のマスクを備
えておく。
(6)従業員等の意識向上
・ 国、地方自治体等がホームページ等を通じて提供している最新の情報を収集し、感染拡大を防止するための知識・知見等を従業員等に周知する。
・ 従業員等に対し、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議が発表している「人との接触を8割減らす10のポイント」(別添2)や「『新しい生活様式』の実践例」(別添3)を周知し、日常生活を含む行動変容を促す。
・ 緊急事態宣言の対象地域・期間においては、従業員等による勤務時間外の飲食を伴う会合の開催を控える。
・ 新型コロナウイルス感染症の陽性者や濃厚接触者となった従業員等やその関係者が、社内で差別されるなどの人権侵害を受けることのないよう、従業員等を指導するとともに、円滑な職場復帰のために十分に配慮を行う。また、陽性者が発生した取引先等の従業員などに対し、差別的な言動を行わないよう、従業員等を指導する。また、従業員等が取引先等の従業員等から差別的な言動を受けた場合には、取引先等に対し、適切な配慮を求める。
(7)労働衛生管理等の適切な実施
・ 感染防止対策の検討に当たって、職場に、労働安全衛生法により、安全衛生委員会、衛生委員会、産業医、衛生管理者、安全衛生推進者、衛生推進者等が設置・選任されている場合、こうした衛生管理の知見を持つ労使関係者により構成する組織の有効活用を図るとともに、労働衛生の担当者に対策の検討や実施への関与を求める。
・ 衛生管理責任者と保健所との連絡体制を確立し、保健所の聞き取り等に必ず協力する。
・ 労働衛生管理等の関連法令上の義務を遵守する。
(8)陽性者等が発生した場合の対応
・ 職場に新型コロナウイルスの陽性者や濃厚接触者(以下「陽性者等」という。)が発生した場合に備え、衛生上の職場の対応ルールを作成し、労働者に周知しておく。
・ 保健所による積極的疫学調査が実施される場合は、積極的に協力する。
・ 職場の消毒や濃厚接触者の自宅待機などの保健所の指示に従う。
・ 職場の消毒等を行う。
・ 陽性者について、労働安全衛生法に基づく労働者死傷病報告を提出する。
・ 労働者が陽性者等になったことをもって、解雇その他の不利益な取扱いや差別等を受けることがないようにする。
・ 陽性者が業務又は通勤に起因して発症したものと認められる場合には、労災保険給付の請求を勧奨する。
※いずれについても、別添1の記4を参照の上、対応すること。
4.おわりに
新型コロナウイルスの出現に伴い、飛沫感染や接触感染、さらには近距離での会話への対策をこれまで以上に取り入れた生活様式を実践していく必要がある。これは、従来の生活では考慮しなかったような場においても感染予防のために行うものである。
新型コロナウイルス感染症は、無症状や軽症の人であっても、他の人に感染を広げる例がある。新型コロナウイルス感染症対策には、自らを感染から守るだけでなく、自らが周囲に感染を拡大させないことが不可欠である。そのためには一人ひとりの心がけが何より重要である。従業員ひとり一人が、日常生活の中で「新しい生活様式」を心がけることで、新型コロナウイルス感染症をはじめとする各種の感染症の拡大を防ぐことができ、本人のみならず、大事な家族や友人、同僚の命を守ることにつながるものと考える。
繋離船作業は、複数の人員で共同して作業を行うことから、各個人の意識が特に大切である。感染者が発生すると、繋離船作業の実行に支障が生じ、事業の継続が難しくなるとともに、船舶の離着岸という港湾の機能が損なわれることとなる。
我が国の物流を支えるのは自分たちであることを自覚して、感染防止を徹底していただきたい。
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