日本繋離船協会
・2020/5/20
 
 


〇「緊急事態宣言時に事業の継続が求められる事業で働く方々等の感染予防、健康管理の強化について」(令和2年4月17日厚生労働省労働基準局長通知)(抜粋)


1 労務管理の基本的姿勢
緊急事態宣言時に事業の継続が求められる事業者におかれては、まずは在宅勤務(テレワーク)を最大限活用して、必要最小限の出勤としていただきたいこと。
また、職場への出勤が必要な労働者についても、感染拡大を防止しつつ業務を継続していただくため、@ローテーションを組み交代勤務を実施することや時差通勤を導入すること等によって、人と人との接触機会を極力低減すること、A出張による移動を減らすためテレビ会議等を活用すること、B換気を徹底することや社内でもお互いの距離を十分にとること等を通じて、「三つの密」(@密閉空間(換気の悪い密閉空間である)、A密集場所(多くの人が密集している)、B密接場面(お互いに手を伸ばしたら届く距離での会話や発声が行われる))を避ける取組を徹底していただきたいこと。                (中略)

2 職場における感染予防対策の徹底について
新型コロナウイルス感染症の大規模な感染拡大を防止するために、以下の内容及び別添2の「職場における新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するためのチェックリスト」を参考として、職場の実態に即した、実行可能な感染拡大防止対策を検討いただきたいこと。       (中略)
感染防止対策の検討に当たって、職場に、労働安全衛生法により、安全衛生委員会、衛生委員会、産業医、衛生管理者、安全衛生推進者、衛生推進者等が設置・選任されている場合、こうした衛生管理の知見を持つ労使関係者により構成する組織の有効活用を図るとともに、労働衛生の担当者に対策の検討や実施への関与を求めていただきたいこと。その際、産業医等の助言を得つつ、妊娠中の女性労働者や、高齢者、基礎疾患(糖尿病、心不全、呼吸器疾患など)を有する方々に対して、十分な労務管理上の配慮をしていただきたいこと。

(1)職場内での感染防止行動の徹底
(換気の徹底等)
・ 必要換気量(一人あたり毎時30m3)を満たし「換気が悪い空間」としないために、職場の建物が機械換気(空気調和設備、機械換気設備)の場合、換気設備を適切に運転・管理し、建築物衛生法関係法令の空気環境の調整に関する基準が満たされていることを確認すること。
・ 職場の建物の窓が開閉可能な場合は、1時間に2回以上、窓を全開して換気を行うこと。複数の窓がある場合、二方向の窓を開放すること。窓が一つしかない場合は、ドアを開けること。

(接触感染の防止)

・ 物品・機器等(例:電話、パソコン、フリーアドレスのデスク等)については複数人での共用をできる限り回避すること。
・ 事業所内で労働者が触れることがある物品・機器等について、こまめに消毒を実施すること。

※ 手で触れる共有部分の消毒には、薄めた市販の家庭用塩素系漂白剤で拭いた後、水拭きすることが有効であること。家庭用塩素系漂白剤は、主成分が次亜塩素酸ナトリウムであることを確認の上、0.05%の濃度に薄めて使用いただきたいこと(使用方法の詳細はメーカーのホームページ等で確認いただきたいこと)。
・ せっけんによるこまめな手洗いを徹底すること。また、洗面台、トイレ等に手洗いの実施について掲示を行うこと。
※ 厚生労働省のホームページ「新型コロナウイルス感染症について」に掲載されている手洗いの啓発用リーフレット「接触感染に注意!」を活用いただきたいこと。
・ 入手可能な場合には、感染防止に有効とされている手指消毒用アルコールを職場に備え付けて使用すること。
・ 外来者、顧客・取引先等に対し、感染防止措置への協力を要請すること。

(飛沫感染の防止)
・ 咳エチケットを徹底すること。
・ 風通しの悪い空間や人が至近距離で会話する環境は感染リスクが高いことから、その規模の大小にかかわらず、換気等の励行により風通しの悪い空間をなるべく作らない等の工夫をすること。
・ 事務所や作業場においては、人と人との間に十分な距離を保持(1メートル以上)すること。また、会話や発声時には、特に間隔を空ける(2メートル以上)こと。
・ テレビ会議、電話、電子メール等の活用により、人が集まる形での会議等をできる限り回避すること。
・ 外来者、顧客・取引先等との対面での接触や、これが避けられない場合は、距離(2メートル以上)を取ること。また、業務の性質上、対人距離等の確保が困難な場合は、マスクを着用すること。
・ 社員食堂での感染防止のため、座席数を減らす、昼休み等の休憩時間に幅を持たせて利用者の集中を避ける等の措置を講じること。
・ その他密閉、密集、密接とならないよう、施設の利用方法について検討するこ
と。

(一般的な健康確保措置の徹底等)
・ 疲労の蓄積(易感染性)につながるおそれがある長時間の時間外労働等を避けること。
・ 一人一人が十分な栄養摂取と睡眠の確保を心がけるなど健康管理を行うこと。
・ 職場において、労働者の日々の健康状態の把握に配意すること(例:出勤前や出社時等に体温測定を行うなど、風邪の症状を含め体調を確認する等)。

(2)通勤・外勤に関する感染防止行動の徹底
(接触感染の防止)
・ 出社・帰宅時、飲食前の手洗いや手指のアルコール消毒を徹底すること。

(飛沫感染の防止)

・ 咳エチケットを徹底すること。
・ 多くの人が公共交通機関に集中することを避ける、職場内の労働者の密度を下げる等の観点から、時差通勤のほか、可能な場合には公共交通機関を利用しない方法(自転車通勤、徒歩通勤等)の積極的な活用を図ること。あわせて、適切な労働時間管理、超過勤務の抑制にも留意すること。
・ 通勤時、外勤時の移動においては、電車等の車内換気に協力すること。
・ 通勤時、外勤時の移動で、電車、バス、タクシー等を利用する場合には、不必要な会話等を抑制すること。

(3)(略)

3 風邪症状を呈する労働者への対応について
新型コロナウイルスに感染した場合、数日から14日程度の潜伏期間を経て発症するため、発症初期の症状は、発熱、咳など普通の風邪と見分けが付かない。このため、発熱、咳などの風邪症状がみられる労働者については、新型コロナウイルスに感染している可能性を考えた労務管理とすること。具体的には、次のような対応が考えられること。特に、@高齢者、A基礎疾患がある者、B免疫抑制状態にある者、C妊娠している者について配慮すること。
・ 発熱、咳などの風邪症状がみられる労働者への出勤免除の実施やテレワークの指示を行うとともに、その間の外出自粛を勧奨すること。
  ・ 労働者を休業させる場合、欠勤中の賃金の取扱いについては、労使で十分に話
   し合い、労使が協力して、労働者が安心して休暇を取得できる体制を整えるこ
と。
・ 風邪の症状が出現した労働者が医療機関を受診するため等やむを得ず外出する場合でも、公共交通機関の利用は極力控えるよう注意喚起すること。

・ 「新型コロナウイルス感染症についての相談の目安(具体的な目安は以下を参照)」を労働者に周知・徹底し、これに該当する場合には、帰国者・接触者相談センターに電話で相談し、同センターから帰国者・接触者外来の受診を指示された場合には、その指示に従うよう促すこと。

「新型コロナウイルス感染症についての相談の目安」(略)

4 新型コロナウイルス感染症の陽性者等が発生した場合の対応について
(1)衛生上の職場の対応ルールについて
事業者においては、職場に新型コロナウイルスの陽性者や濃厚接触者(以下「陽性者等」という。)が発生した場合に備え、以下の項目を盛り込んだ対応ルールを作成し、労働者に周知いただきたいこと。なお、企業における具体的な取組事例を取りまとめた別添3の「新型コロナウイルス感染症の陽性者等が発生した場合の衛生上の対応ルール(例)」を適宜参考にしていただきたいこと。
併せて、新型コロナウイルス感染症の陽性者について、労働安全衛生法に基づく労働者死傷病報告の提出に留意すること。
・ 労働者が陽性者等であると判明した場合の事業者への報告に関すること(報告先の部署・担当者、報告のあった情報を取り扱う担当者の範囲等)
・ 労働者が陽性者等であると判明した場合の保健所との連携に関すること(保健所と連携する部署・担当者、保健所と連携して対応する際の陽性者と接触した労働者の対応等)
・ 職場の消毒等が必要になった場合の対応に関すること
・ 労働者が陽性者等になったことをもって、解雇その他の不利益な取扱いや差別等を受けることはないこと
・ その他必要に応じ、休業や賃金の取扱いなどに関すること等

(2)労災保険制度について
労働者が新型コロナウイルス感染症に罹患し、業務又は通勤に起因して発症したものと認められる場合には、労災保険給付の対象となることから、労災保険制度について周知していただいた上、適切に請求を勧奨していただきたいこと。

5 新型コロナウイルス感染症に対する正しい情報の収集等
事業者においては、国、地方自治体等がホームページ等を通じて提供している最新の情報を収集し、必要に応じ感染拡大を防止するための知識・知見等を労働者に周知いただきたいこと。その際、心の健康相談などのメンタルヘルスに関する相談やDVや児童虐待に関する相談などの窓口についても、必要に応じ、労働者に周知いただきたいこと。
なお、新型コロナウイルス感染症に関する個別の労働紛争があった場合は、都道府県労働局の総合労働相談コーナーにおいて相談を受け付けていることも、併せて周知いただきたいこと。




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